「ハグリッド、今まで誰かいたの?」
テーブルに置かれた二つのカップを見て尋ねたら、ハグリッドの目が丸くなった。そして、うろうろと視線が宙に泳ぐ。
「いんや、誰もおらんかったぞ」
「……もしかして、?」
気づいたら口にしていたそれは、ただの勘だった。でも、すごい勢いでこっちを見たハグリッドのぎょっとした顔に、それが当たりだと分かった。
なんで、がここへ?僕と同じようにハグリッドに招待された?つまり、はハグリッドと知り合いってこと?
答えの出ないたくさんの疑問に頭がぐるぐるして、こうなったらとハグリッドを見上げる。
「ねぇハグリッド、って何者なの?入学前にスネイプとダイアゴン横丁にいたし、先生達と仲が良さそうだし、それに今日は魔法薬学で聞かれることを知っていたんだ」
問い詰めると、ハグリッドは弱ったように眉を下げた。
「すまん、秘密にすると約束しとるんだ」
その口調は固く、約束を守ろうとする意思が強く滲み出ていた。
「ハリー、あんなやつのこと気にする必要ないって」
ファングにベロベロ舐められながら、ロンは不機嫌に言う。ロンはホグワーツ特急での一件とスリザリン生ってことで、のことを嫌っていた。ロン曰く、マルフォイの次に嫌な奴って。
話が途切れたのを幸いとばかりにハグリッドはお茶の用意を始めて、これ以上の追及を諦めて大人しくソファに座る。
――ー・だよ!
――。気安く名前で呼ばないで。
二人のが頭の中で浮かんでは消え、消えては浮かんで。
一体、どっちが本当のなんだろう。
どちらが本当の君?