甘く見てると襲っちゃうよ
苦手な数学の問題。
グミさんに懇切丁寧な解説をしてもらってやっと一問解けたら、笑いながらよくできましたと頭を撫でられた。
その手つきは優しかったし別に嫌だってわけじゃなかったんだけど、その行為は自分が幼く見られてる感じがして少しむっとした。
「やめてください」
「なに、照れてるの?あはは、可愛い〜」
抵抗すればグミさんはおもしろがって更に撫でてきた。
しかし、可愛いの言葉にさっきまでのこそばゆいような気持ちはなくなって、代わりにグミさんに仕掛けてやりたいという衝動に駆られた。
だから無言で手首を掴んで、きょとんと俺を見てくるグミさんに向けて笑ってからぐいと引っ張り、細い体を抱きしめた。
グミさんはすぐには現状把握が出来なかったようだったけど、俺が腰に回した腕に力を込めると騒ぎ出した。
「れれ、レン君!?」
離してと体を押してくるもう片方の手首もまとめて掴んで、まだ騒ぐ唇を自分ので塞いで黙らせる。
そして無理矢理に舌を入れて、逃げるグミさんの舌を捕まえて絡める。
耳に届くグミさんの辛そうな息をする音が更に俺を煽って、もっともっとと貪欲に深い口づけをする。
唇を離した時には混じり合った唾液が糸を引いて、それが部屋の蛍光灯を浴びて光って見えた。
「ねぇグミ、良いこと教えてあげるよ」
荒い息をするグミさんの耳元に唇を寄せて囁けば、大袈裟に体を揺らした。それがおかしくて、くくっと低く笑う。
「──、一つ目」
「っ!!?れ、レンく、ひゃっ!?」
「男の部屋に行く時はミニスカートは履かない方が良いよ」
カーペットの上に押し倒して、スカートから伸びた足を上へと撫でる。
「誘ってるって勘違いしちゃうから」
裾の部分で手を止めて、そこを何度も撫でればグミさんはそれまでの比にならないくらいに顔を真っ赤にした。目元にはうっすら涙も浮かべている。
「で、二つ目」
言いながら、目尻に浮かぶ涙を指で掬う。
「あんまり年下を甘く見ないでくださいね。分かりました?」
「……分かりました」
消え入りそうな声ににっこりと笑って、よくできましたと唇に一つキスを落とした。
title by はちみつトースト