ハロウィン
「お菓子がないなら悪戯だね」
そう言ってレンはにやりと笑うと、強引にグミの唇を奪った。
抵抗しようとした彼女を容易く封じ、無理矢理押し込んだ舌で熱い口内を好き勝手に侵す。
そして片手で一つ、また一つとシャツのボタンを外していき、
「もしかして、こうなるの期待してた?」
先日訪れた店で、自分が可愛いと意見した下着を着けたグミに、レンは意地悪くほくそ笑む。
淡く赤に染まった頬にキスを落として愉しそうに問いかければ、グミが思いの外まっすぐに見返してきて、
「もしかして、襲われたくてわざとお菓子を用意しなかったりして」
そうしてグミが悪戯成功とばかりににんまり笑ったものだから、レンは数秒間呆けた顔をした。
「……それなら、どんな風にされても文句言わないでよ?」
熱を孕んだ低い声に、色欲に塗れた仄暗い瞳。
瞬く間に雰囲気を変えた目の前の男に、グミはほんの僅かに後悔の念を抱きながらも、笑みを形作ってみせる。
「トリックオアトリート!!」
窓の外から聞こえる無邪気な子どもの声に、スプリングの軋む音が紛れて、消えた。