Shut in
「あの、レン君?」
窺うような声に、緑の髪を弄っていた手を止める。
そして首を回して見上げてくるグミに何と問いかける。
「いや、『何?』は私の台詞なんだけど…」
「そ。で、何?」
「腕、放してくれない」
「だめ」
「ですよねー」
グミの言葉を却下すると共に、お腹に回した腕に力を込める。
肩口に顎を乗せれば、グミが諦めたように息を吐いた。
視界の中で、緑の髪が揺れた。
「まだ足りないなぁ」
「え?」
「んーん、なんでもない」
言って、はあとため息を吐く。
この体を腕の中にすっぽりと閉じ込められるようになるまで、あとどれくらいかかるだろうか。