世界の端っこ
私の代わりなんていくらでもいる。
そのことに気づいた瞬間に思ったのは、「捨てられたくない」だった。
それまで以上に努力して、飽きられないように見限られないようにひたすらに努力した。
だけどいくら有名になっていっても、いつか興味を無くして忘れてしまうのではないかという恐怖は消えなかった。
「俺は、グミの事を絶対に忘れないよ」
手首を掴まれた力はさして強くもないのに、その手を振り払う事ができなかった。
真剣に見つめてくる青い眼を揺れる瞳で見返して、微かに震える唇を噛み締める。そうしなければ、嗚咽が漏れ出しそうだった。
自分を呼ぶ声に、必死に隠してきた弱い心が揺すぶられる。
「嘘だ……、レンだって忘れちゃう」
掠れた声を吐き出して、逃げようとすれば足が絡まってその場に尻餅をついた。
「嘘じゃない。たとえ今の「俺」が消えても、グミを忘れない」
目線を合わせたレンが言う言葉に、一体どこに根拠があるのかと反論して、
「…忘れないで、私は私なの…!」
口から出たのは、今まで決して言葉にすることのなかった想い。
嗚咽とともに、抱え込んだ不安が止め処なくあふれ出す。
大丈夫だと優しい手つきで頭が撫でられ、何度も優しい声が私の名前を囁いた。