親切は人のためならず
「で、今度は何?」
「馬鹿にされた」
「ハルカ、いつもそれよね」
そう言ってふふっと笑うカスミに頬を膨らませ、コンビニで買ったパンにかぶりつく。
「……それはそうと、カスミも喧嘩したの?」
「え?」
「だって今日サトシと話してるの見てないから」
「……あぁ、そういえばそうね。でも別に喧嘩なんてしてないわよ」
首を傾げたカスミにそう言うと、カスミは暫く黙り込んだ後にこりと笑った。
「それならいいけど。……で、当の本人はまたあれ?」
「みたいね。ほら、もうすぐクリスマスだから告白ラッシュなのよ。大変よねー、もうすぐ昼休み終わるってのに」
「カスミもじゃないの?」
「私?もうっ、ハルカったら何言ってるのよー」
そう言ってカスミは食べ終わった弁当箱を直し始める。
いやいや、絶対に多いかも。今日だって朝からラブレターいっぱい貰ってたし!
モテているという自覚のないカスミに心の中で突っ込んで、パンの最後の欠片を飲み込む。
「……カスミもサトシも早く素直になった方が良いかも」
「え、何か言った?」
「何でもないかもー」
きょとんとした表情をしたカスミに笑い返し、
(ここはハルカ様が一肌脱いであげますか!)
カスミに見えないように机の下で拳を握った。