そんなに駄々を捏ねないでください
なぁなぁ、もう30分経ったってばよ!」
頭のすぐ上から降ってくる声に走らせていたペンを止める。
「……あのね」
「もう1分も待たないってばよ!俺、腹減ってもー死にそーだし!!」
それなら一人で行ってくればいいのに。
口にしかけて、それを言えば相手が剥れるのが容易に想像できて、喉の奥に引っ込める。
このくそ忙しい時に無駄な問答は避けたい。
「お願い、あと5分頂戴」
「5分!!?やだ!!」
即答ですか。これはもう、何を言っても嫌だの一点張りだろう。
そう考えて、しょうがないとペンを置く。
「ナルト」
上を向くと、すぐ近くに不機嫌そうな青い瞳。
窓の外と同じ澄んだ青に、なんで室内に篭って紙切れと向き合ってんのかしらと唐突に虚しい気分になる。
だけど、投げ出すことなんてできないし、そしてこれは早急に終わらせなければならないもので。
最近、すっかり精悍な男の人となったナルトの頬を両手で挟んで引き寄せ、そっと唇に触れる。
「あと15分待てたら、ご褒美あげる」
途端、ナルトの顔はキラキラと輝き出した。
title by オセロ