晴れ渡った空を、赤と青の式神が横切る。
それを背中に、目の前にいるコトは満面の笑みを浮かべる。
嬉しくてたまらないといった表情のコトに、袖の中で拳を握る。
分かっていたはずだ、いつか必ずコトが帰ってしまうことは。
楽しかったよ。ご飯美味しかったよ。引き取ってくれたのが明恵で良かったよ。
いくつも重ねられる肯定的な言葉が、その度に心臓に突き刺さる。
「じゃあな、コト」
掠れそうな声でそれだけ紡げば、コトは更ににんまりと笑って。
「ばいばい、明恵!」
ぶんぶん大きく振られる手に軽く手を挙げ返して、無理やりに口の端を上げた。