ど真ん中ストレート
カントクの教室を訪れたら、珍しいことにカントクが少女漫画を読んでいた。
「カントクでも少女漫画なんて読むんですね」
「黒子君、今日のメニュー二倍ね」
「すみませんでした」
思ったことを素直に口にしたら黒い笑顔で脅されました。
発言には気をつけよう。
「友達がおもしろいって言うから借りたんだけど」
「つまらないんですか?」
「お互いにすれ違ってばっかりで苛々するのよね。好きなら好きってはっきり言いなさいよって感じ」
頬杖をついて、やや不満な様子のカントク。
……はっきりですか。
「リコさん」
普段は絶対に口にしない名前を呼んで、軽く目を瞠ったカントクの手首を掴む。
そして僕の名前を紡ごうとした唇に、触れるだけのキスをする。
「好きですよ、リコさん」
愛の言葉を告げれば、カントクの頬がにわかに赤く染まった。