天井の硝子窓から降り注ぐ陽光は心地よくて、気がつけばプールを見下ろす椅子でうたた寝をしていたらしく。
耳元に触れた温かさに目を開くと目の前にいたレッドが驚いた風に瞠目した。
何と問えば、別に何でもないなんて言いながら私の髪を撫でる。
「不法侵入よ」
「ジム開いてるのに寝てる方が悪い」
そう言われたら返す言葉が無くて黙り込めば、レッドは微かに笑う。
「挑戦者は僕が相手するからカスミは寝てて良いよ」
冗談とも本音とも分からないレッドの魅力的な提案に、未だ眠気の残る頭で考えて断りの言葉を返す。
「あんたが相手なんて挑戦者が可哀想だわ」
そう言ってからレッドの首に両手を回す。
だから、一緒に夢の世界に行きましょう。
そんな私の誘いにレッドは口の端を上げると、軽々と私の体を抱き上げた。