≒100%
多分、カントクは僕のことが好きだ。
少し前から急変したカントクの自分に対する態度。
それまでは話をする時は必ず目を見ていたのに、今は視線をあっちへこっちへ。指摘をしたら僕の目を見るけど、すぐにボンッと耳まで顔を赤くしたり。
ボディタッチだって当たり前だったのに、今じゃ指先が掠めるだけで大袈裟なくらいに体を震わせて、距離を取ったり。
そんな不審な挙動の数々から彼女が自分に抱いているのであろう気持ちを当てるのは容易で。
だけど、僕は動けない。
まだ、彼女が僕を好きだって、確信できる証拠が無いから。
彼女の気持ちが僕が彼女に抱く物と同じものだと99.9%確信していたとしても、残りの0.1%がそれを否定する。
お前が考えている99.9%は、ただの自意識過剰な妄想に過ぎないのだと、僕の動きを止める。
臆病だと、思う。
たったの0.1%を無視できず、好きな女の子との関係が壊れることに怯えて。
卑怯だと、思う。
彼女に期待をさせるようなことをしながら、彼女の気持ちに気づかないふりをして。
「滑稽だな」
吐き出した自嘲の言葉に、嗤った。