……頑張ります、よ。
「ダメツナ」
グサリ。
冷たい声で言い放たれた自分のあだ名が心に突き刺さる。
俯きながら正面に立つ黒川を見ると、それはそれは冷ややかな視線が返ってきた。
「ダメツナ」
「わ、悪かったって!!」
繰り返された名前と重圧に耐え切れず早口に言い返す。
しかし黒川の視線は相変わらず厳しいまま。
「ほんとにそう思ってんの?」
「思ってるって!!」
黒川の言葉に強い口調で返し、その目を真っ直ぐに見返す。
そんな俺の反応に黒川は顔にかかった髪を直し、
「三回目となると全然説得力ないわね」
「うっ……」
気怠げに言われた言葉に返す言葉が思い浮かばず、力無く視線を足元に落とす。
「今度こそしっかりやってよね。……一応応援してあげてるんだから」
黒川は溜め息混じりにそう言うと、反応のない俺を置いてさっさと歩いて行く。
離れていく足元を聞きながら、今日の情けない自分の姿を思い起こす。
無様に慌てふためいて、たった二文字の想いも伝えられない。
だけど、だけど次こそは。
「……頑張ります、よ」
三度目の誓いと彼女への想いを胸に、小さく言葉を呟いた。