触れた手がとても冷たくて、顔が熱くなった
半分程カーテンが開かれた窓の外には、雲一つない濃い青空が広がっている。
そんな空を見て、空気清浄器の稼動音が響くだけの静かな室内に小さく息を吐き出す。
「ん……」
「!」
と、不意に聞こえてきた小さく弱々しい声に視線を空から下に、目の前のベッドに体を沈めるカスミに向ける。
息を潜めて、身じろぎをするカスミを見つめ、
「……サト…シ?」
「カスミっ、大丈夫か!?」
うっすらと目を開けてしばらく視線を宙に泳がせた後、俺を見て口を開いたカスミに思わず大きな声を出す。
「サトシ、うるさい……」
「あっ、悪い」
しかし、顔を顰めて弱々しい声で抗議をしたカスミに慌てて手で口を覆い、
「で、大丈夫なのか?」
さっきより数段小さな声で同じことを問いかける。
「まだあんまり大丈夫じゃないかなー」
カスミは額に手を当てながらそう答え、力無く笑った。
いつもと違う弱々しいカスミの姿に何だか調子が狂って、何か言おうと何度も口を開閉させる。
「何か俺にできることあるか?」
色々考えた末にそう言った俺に、カスミは目を伏せる。
「……手、貸して?」
辛抱強く待っていれば、カスミは小さい声でそう言ってきた。
そんなことで良いのかと心の中で思い、熱からか少し顔を赤らめたカスミに手を差し出す。
視線を上げたカスミは俺の手を少しの間見た後、遠慮がちに布団の中から手を出して俺の手を掴んだ。
そして、
「!?」
カスミは俺の手を引っ張ると、おもむろに自分の頬に当てた。
「つめたーい」
驚く俺を気にする様子もなく、気持ち良さそうに頬を擦り寄せてくるカスミに思考が停止して。
「サトシ?」
不思議そうなカスミの声に慌てて顔を背けて、もう片方の手で真っ赤に染まっているであろう顔を覆った。