また言い訳をしてしまう
ふと気づくと、いつの間にか視線があいつを追っている。
それに気づいて慌てて逸らすけど、気づいたらまた視線はあいつに向いていて。
何度かそれを繰り返して、最後には諦めてじっと私の視線に気づかないあいつを見つめる。
そう、あいつは気づかない。
頭の中でその事を反芻して、少し苛立ちを覚える。
気づかせてやりたい。
不意にそんな思いに駆られて、向ける視線に体の中に満ちる想いを乗せる。
(気づけ、気づけ、気づけ。)
呪文のように何度も繰り返し、しかし一向に気づく様子の無いあいつに視線を下ろそうとした時。
「なんだ、ナミ?」
顔を上げて私の視線をごく自然に、そして真っ直ぐに見返してきたルフィに心臓が跳ねる。
「……食べかす付いてるわよ」
そんな内心を必死に隠しながら、ありもしない食べかすを取るためにルフィの頬に手を伸ばした。