スプーンの行き先
小腹が空いたからリフレへとやってきたら、カウンター席にデュース、レム、マキナを見つけた。
「あ、エースさん。今からお昼ですか?」
「うん。デュース、それは?」
デュースの隣に腰かけ、彼女の前にある見たことのない料理に首を傾げる。
「これは新メニューなんですよ。夏限定だそうです」
「へえ」
「食べますか?」
そう言ってデュースはスプーンで掬って、僕の方へ差し出してきた。
「ありがとう、もらうよ」
スプーンを口に入れて、咀嚼する。うん、まあまあ美味しいかな。
「……ん?どうした、レム?マキナ?」
口の中のそれを飲み込んだところで、横からの視線に気づく。
そっちを見れば、唖然とした様子でこっちを見てくるレムとマキナがいた。
食事の手まで止めて、いったい何だというのだ。
そんな気持ちを込めて声をかければ、二人は互いに視線を合わせた後。
「え、エース。お前、今……」
「間接キスしたよね……?」
「は?」
何を言うかと思えば、間接キス?
眉をひそめて二人からデュースへと視線を移せば、デュースも不思議そうな表情で僕を見ていた。
「間接キスと言われても、な」
「いつものことですからねぇ。あ、エースさんもう一口いかがですか?」
そう言って差し出されたスプーンに、戸惑うことなく口を開いた。