唯一
「ねえねえ、好きだよ」
何の脈絡もなく歌うようにそう紡げば、レン君は青い瞳を丸く見開いた。
そして薄く頬を朱に染めながら、苦渋の面持ちで私を見る。
「聞きますけど、グミさん。今日、その言葉誰に対して使いました?」
「えっと、がくぽにミクちゃん、リンちゃんにメイコさんとカイトさんと、ルカさんにリリィに」
「分かりました、もう良いです」
遮って、眉を寄せたレン君が息を吐く。もう顔は赤くない。
「ね、レン君は?」
「想像にお任せします」
「なにそれー」
「嫌いじゃないです」
「じゃあ好きってことでいい?」
「お好きにどうぞ。…………まぁ、グミさんとは違う意味の好きですけど」
「え?何か言った?」
「別に何も言ってませんよ」
そう言ってそっぽを向くレン君。不思議に思って小首を傾げてみても、こっちを見てはくれない。
結ばれた唇を見て、気づかれないように嘆息する。
レン君はきっと知らないだろうね。
私がレン君に対しての好きにどれだけの気持ちを込めているかなんて。
「みんなとは違う好きなんだけどなぁ」
ぽそりと、絶対にレン君には聞こえない大きさで呟いた。
青い目も金の髪も、声も表情も、君の全部に対する好きは、loveの好き。
……まぁ、君の私への好きはlikeでしかないんだろうけど。