ずぶ濡れの恋心
知っていた。この恋が叶わないものだって。
でも認めたくなかったから、気づかないふりをした。
何かと理由をつけてはアイツにつきまとって、からかって。
だけど、それでも心の奥では分かってた。
私じゃ駄目だってこと。
アイツに笑いかけるたびに、心の中の私が無様に足掻く自分を嗤っていた。
無駄だと、想いは届かないと、醜いだけだと。
アイツは──レッドは、イエローのことが好きなのだと。
そんなの、ずっと前から知ってた。
滝のように降り続く雨が、私の体から熱を奪っていく。
だけど、目と喉だけは痛いくらいの熱を帯びている。
黒雲を見上げる目に、寄り添い合う二人の姿が幻のように映る。
恥ずかしそうに頬を染めて、見つめ合う二人の間に入り込む隙間なんて無くて。
「バカみたい」
吐き出した声は、雨とともに地面に落ちた。
涙も想いもすべて洗い流して。
そうすれば、こんな辛い思いも滑稽な私も綺麗になくなるでしょ?