ラブテレパシー
「驚いたわ」
「うるさいな」
顔を顰めて言葉を返せば、ディスプレイに映るカスミは悪びれた様子もなくごめんを二回繰り返した。
「でもほんとにビックリしたわよ。あんたが連絡寄越すなんて何時ぶりだっけ?」
笑いながらそう問いかけてきたカスミに、記憶の回路を逆走してその答えを探し、
「……悪かったな」
求める記憶が見つからない事を三秒で悟り、謝罪の言葉を述べる。
「そう思うならもう少しこまめに連絡しなさい」
それを聞いたカスミは呆れたように言い、渋々承諾の言葉を返した俺に小さく笑った。
そしてそのままの笑顔で口を開く。
「で?そのサトシが久しぶりに連絡してきた理由は?」
からかうように言われた言葉に視線を泳がせる。
「そ、それより、ルリリ元気か?」
「へえ、ごまかすつもり?」
ぎこちない笑みを浮かべながら話を逸らそうとした努力は、途端に苛ついた口調で切り返してきたカスミの前に虚しく崩れ去った。
視線で話を催促してくるカスミから膝の上に視線を落として、息を吸って意を決して重い口を開く。
「……が、」
「え、なに?」
「……カスミが寂しがってるような気がしたから」
小さな声でそう言って、熱が集まった頬と流れ始めた沈黙に気まずい思いを抱きながらそろそろと視線を上げ、
「……カスミ?」
顔を林檎みたいに真っ赤にしたカスミに目を見開いた。
その数秒後。
沈黙を破ったのはカスミのありがとうという言葉だった。
言葉の意味が分からずに首を傾げた俺に、カスミは小さく笑うとその理由を話し始めたのだった。