絶対的信頼
もしも、同期の女子メンバーが絶体絶命の危機に陥ったら。
「あんたは誰を助ける?」
ある昼下がりのある公園。
そこで偶然出会ったナルトと下らない世間話をした後、不意に頭に浮かんだそんな問いを口にすると、ナルトはぽかんとした顔になった。
「え、なんだってばよ、いの?」
「だから、同期の女子がヤバくなったら誰を助けに行くかって聞いたのよ」
「……うーん……」
腕を組んで思考を始めたナルトを見て、一つ瞬きをする。
(何を悩んでるのよ。)
だってナルトが好きなのはアイツで、だからこの質問にも即答すると思ったのに。
「やっぱり……ヒナタ、だってばよ」
「……は?」
「だから答えはヒナ……いてぇ!!?はにひやがるんはよ、ひのっ!!」
「あんた、ナルトの偽物?」
「ひげえよっ!!」
予想と違う反応と思いもしなかった答えに動揺した私は、ナルトの両頬を引っ張った。
「なんでサクラじゃないわけ?」
手を放して、赤くなった頬を摩るナルトに強い口調で問いつめると、ナルトはきょとんとした顔をした後、困った様に笑った。
「サクラちゃんは絶対に大丈夫だから」
その言葉に怪訝な表情をしたのであろう私に、ナルトは薄くなったはずの頬を再び赤くして話を続けた。
「そりゃ目茶苦茶心配だし、助けに行きたいけど、そんなことしたら絶対サクラちゃんに怒られるってばよ」
「あんた、怒られるのが嫌で助けに行かないの?」
「そうじゃないってばよ!そうじゃなくて俺は……、サクラちゃんのことを信じてるから!」
力強くそう言い切ったナルトに息を止め、その真剣な表情に魅入り、ふっと口元を緩める。
「じゃあ、どうして私を除外したのか聞こうかしら?」
「えっ、それは〜……」
数秒前の前の真剣さはどこへやら、汗を浮かべて答えを探そうとするナルトに、私は声を出して笑った。