恋日和
例えば、晴れの日。
春から夏に近づくにつれて強くなる陽射しを浴びて、ハニーブラウンの髪は光を反射してより一層その色を綺麗に輝かせる。
例えば、雨の日。
傘では守りきれずに浴びた細かい水滴さえも、彼女をいつもよりも輝かせて見せる。
例えば、曇りの日。
厚い雲に太陽を覆い隠されても、彼女がいるだけでまるで晴れの日の様に全てが明るく見える。
例えば、例えば。
「ツナ君、どうかした?」
不意に耳元でした鈴を鳴らす様な声に勢いよく顔を上げれば、可愛らしく首を傾げた京子ちゃんと視線が交わった。
心配そうなその瞳に慌てて何でもないと返せば、京子ちゃんはその言葉の真偽を探るように俺の目を見つめ、その真っ直ぐな視線に思わず息を止める。
「ほんとに何でもない?」
「う、うんっ、本当だよ!」
こくこくと何度も首を振る俺に京子ちゃんは小さく息を吐き出し、
「それなら、いいやっ」
そう言って、太陽よりも明るい笑顔で笑った。
例えば今日が嵐で、明日が吹雪でも。
例え、どんな天気だろうと。
君がいるだけで、毎日が最高の一日になって、
君が笑うだけで、嫌なことも吹き飛んでしまう。
(ああ、今日も絶好の恋日和だ。)