心地よい眠りを貴方に
「ツっ君、大丈夫?」
額に汗を浮かべてソファに身を沈めていたツナは、自分にかけられた心配そうな声に薄く目を開いた。
そして、視界に入った京子の姿に小さく笑みを浮かべる。
「……うん。大丈夫」
そう言って体を起こそうとするが、その途端に視界が回って倒れそうになった。
「大丈夫じゃなさそうだね」
倒れそうになるのを必死に防ごうとするツナに、京子は眉を下げ苦笑いをした。
決まり悪そうな表情になったツナに、手に持っていた水が注がれたグラスを差し出す。
それを礼を言って受け取り、口に含むツナを見ていた京子は、
「ツっ君、膝枕しよっか?」
グラスの水が無くなると同時に、ツナにそんな提案をした。
「え?」
呆気にとられた声を発するツナににこりと笑い、ツナの隣に腰をかける。
そして、自分の膝を叩くとツナに笑いかける。
そんな京子にツナはしばし逡巡した後、
「……お借りします」
「どうぞ」
体を横に倒し、京子の膝の上に頭を乗せた。
自分を見下ろす京子の視線に頬を染め、気まずそうに視線を逸らす。
すると、上から降ってきたくすくすという小さな笑い声にツナは体を起こそうとして、
「……」
頭に触れた手に動きを止めた。
そして視線を上げれば、思わず見とれてしまうほどに優しい表情をした京子と視線が交わった。
「おやすみなさい、ツっ君」
そう言って微笑み、京子はツナの髪を撫でる。
その優しい手つきにツナは気持ち良さそうに頬を緩ませ、小さな声で言葉を返すとゆっくりと瞼を閉じた。